崖の上のポニョ

吉祥寺で見てきた。

ちなみに、いわゆるシネコン以外で普通の映画のロードショーを見るのはずいぶん久しぶりだが、残念ながら席は全部自由席で、おかげで事前に券を購入していたにもかかわらず、上映開始の40分まえぐらいから湿気と猛暑のなか、通気の悪い映画館の階段の踊り場で延々と行列をつくって待つことになった。
昭和のころはこれがフツーだったけど、すでに平成になって二十年である。いまは全席指定席で、券を買ったらあとはのんびり上映時間を待てばいいのが普通だろう。こういう営業努力してない施設に普通のロードショーなんかもう見にいかないよ。

映画はなかなかよかった。画が童話絵本っぽくてよい。
筋はシュールでよくわからないが、雰囲気をたのしめばそれでいいだろう。伏線とか結末とか話の構成とか気になるひとは見ないほうがいい。
そんなわけで、プログレ・ロックのバンドのポップめの一曲みたいな感じで楽しんだ。

ただこの映画、「神経症と不安の時代に対して」云々みたいに主張されているけど、むしろこの映画のほうが大人にはそういうフラグメントを感じ取れて、そのせいでよけい味わいが増すところもあるから、あんま健全風味をウリにするのはかえって自分の首を絞める気がしてどうかなあ。むしろつげ義春の白日夢っぽい一連の作品に似たテイストを感じましたよわたしは。

あと宮崎作品お約束の隠れシトロエンだが、今回はまったくわからなかった。
船の引き揚げ場の路面に描いてあるペイントは、さすがに違うよね?